
本記事では、イベントディレクターの概要、仕事内容、1日の仕事の流れ、働き方・ライフスタイル、年収、求められる適性・向いている人、働く辛さ・大変さ、将来性、イベントディレクターになる方法、関連する資格について紹介します。
イベントディレクターとは
イベントディレクターとは、イベントの統括管理(ディレクション)を行う人です。ここでのイベントには、コンサートやライブ、フェスティバルなどだけでなく、展示会や結婚式、スポーツ競技大会、セミナーなど、さまざまなイベントが含まれます。
イベントディレクターとよく似た仕事にイベントプロデューサーがありますが、イベントプロデューサーは、そのイベント全体の責任を担う人を指し、企画や予算管理、スケジュール調整なども行います。これに対してイベントディレクターは、イベント当日の運営と進行が主な仕事です。「現場監督」をイメージしていただくとわかりやすいのではないでしょうか。
イベントディレクターの仕事内容
イベントディレクターの主な仕事は、イベントの運営と進行です。大規模なイベントになると、運営部門と進行部門に分けて複数名のイベントディレクターを配置することもあります。
運営部門のイベントディレクターは、受付や誘導の責任者となり、イベントが円滑に進むように、他のスタッフと協力しながら業務を進めます。進行部門のイベントディレクターは、ステージの演出の責任者となり、音響や照明、MC、出演者への指示・管理などを行います。
イベントディレクターの仕事の流れ(1日)
次に、イベントディレクターの仕事の流れを見ていきます。
イベント当日は、イベントのスケジュールに合わせて動きます。イベントがない日は、イベント当日に向けての準備や、クライアントとの打ち合わせなどの業務を行います。決まったルーティンのある仕事ではなく、流れは日によって変わりますが、ここで一例として、イベント会社で働くイベントディレクターのある日の流れを紹介します。
10:00~12:00 | デスク業務(メールのチェック、会場ヒアリングなど) |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~14:00 | 社内ミーティング |
14:00~16:00 | クライアントと打ち合わせ |
16:00~19:00 | 社外関係者への連絡業務、資料作成など |
イベントディレクターの働き方・ライフスタイル
イベントディレクターの就職先としては、イベント会社や、コンサート・フェスティバル運営会社、結婚式場、ホテルなどが挙げられます。また、ある程度経験を積んでからフリーランスになる人もいます。フリーランスの場合は、イベント当日の現場運営のみを日当で請け負う場合が多いですが、事前準備作業も含めて請け負うこともあります。
イベントの種類や内容にもよりますが、イベントは土日祝に開催されることが多いため、イベントディレクターになると土日祝に休みを取るのが難しいこともあります。ただ、ほとんどの会社は振替休日を取得できますので、土日祝に働いた分平日にゆっくり休めるというメリットがあります。
イベントディレクターの年収
イベントディレクターの年収は、業界や地域、会社の規模などによっても変わります。求人を見ると、年収300万~800万円程度の募集が多いようです。大企業なら、それ以上で募集されることもあります。
また、フリーランスの場合は地域や案件にもよりますが、首都圏なら一日4万~5万円程度、その他の地域では3万~4万円程度が目安ではないでしょうか。努力次第では、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。ただ、フリーランスとして活躍するためには、多くの経験を積み、スキルを磨き、さらに業界内で信頼を獲得する必要があります。最終的にはフリーで活躍することを目指している人も、まずはどこかの会社に所属して、必要な力を身につけることをおすすめします。
イベントディレクターに求められる適性・向いている人
では、どのような人がイベントディレクターに向いているのでしょうか。
何かしらのリーダー経験がある人
イベントディレクターは、「現場のリーダー」のような存在です。イベント当日は、多くの人を動かさなければなりません。そのためには、イベントの全体像を把握できている、スタッフ一人ひとりの役割や業務を理解できている、適切な指示を出せるといったことが非常に重要になります。また、イベントの目的を理解し、目的に沿って行動することも求められます。
このように、イベントディレクターはリーダーシップが求められる仕事であるため、これまでに何かしらのリーダー経験がある人のほうが向いているといえるでしょう。
リスクマネジメントができる人
多くのイベントは一発勝負で、やり直しがききません。しかし、イベント開催中に、何かしらのトラブルが発生することもあります。イベントディレクターには、起こり得るトラブルを予測して、未然に防ぐ能力も求められます。これを、リスクマネジメントといいます。
具体的には、会場の安全確認、スケジュールの確認、機材のテストなどの事前準備、ケアレスミスを防ぐためにスタッフ同士のコミュニケーションを促す、行動指針を立てるといったことをきちんとできる人が向いているでしょう。
何事にも柔軟に対応できる人
どれだけしっかりリスクマネジメントを行っていたとしても、当日想定外の事態が発生することもあります。たとえば、リハーサルでは問題がなかった機材が突然動かなくなる、出演者が急遽来れなくなる、屋外のイベントで天候が悪化するなどです。このようなイレギュラーに対応することも、イベントディレクターの仕事です。いつでも冷静に、かつ柔軟に対応できる人が向いている仕事といえるでしょう。
体力に自信がある人
イベントディレクターは、イベントを成功させるためにいろいろな人や場所の間を動き回らなければなりません。体力を要する仕事であるため、ある程度体力に自信がある人のほうが向いています。
また、もしイベント当日にイベントディレクターが体調不良で休みとなれば、イベントが回らなくなってしまいます。そのため、自分の健康をきちんと管理できるということも大事なポイントです。
イベントディレクターとして働くつらさ・大変さ
イベントディレクターのつらさ・大変さとしてまず挙げられるのが、ワークライフバランスをとるのが難しいという点です。イベントは土日祝に行われることが多いため、休みがカレンダー通りにならないことも多いでしょう。また、たとえばイベントを商業施設内で開催する場合、遅い時間からでないと設営に取りかかれないこともあり、イベント前日は特に残業が多くなる傾向があります。
さらに、「自分が現場を仕切って成功させなければ」というプレッシャーがかかるため、心理的な負担も大きい仕事といえます。そして先ほどお伝えした通り、体力勝負の仕事であるため、年齢を重ねるにつれてきつく感じるようにもなるかもしれません。
しかし、イベントに参加した人の笑顔を見られる、声を直接聞くことができるなど、喜びも多い仕事です。クライアントに満足いただけたときには、大きな達成感も味わえます。
イベントディレクターの将来性
新型コロナウイルスの流行をきっかけに、オンラインやハイブリッドといった新しいイベントの形態が定着しました。また、最近はその日・その場所限定の体験に対して消費する「トキ消費」が注目されていますが、まさにイベントは「トキ消費」の場といえます。イベント業界はさらなる成長が見込まれる業界であるため、イベントディレクターも将来性のある仕事といえるのではないでしょうか。
ただ、体力の問題はあります。将来的にフリーを目指しているなら、ある程度の年齢になるとイベントディレクター1本では難しいと感じるようになるかもしれません。
イベントディレクターになるには
では、どうすればイベントディレクターになれるのでしょうか。
新卒入社を目指すには
イベントディレクターになるために必要な資格や学歴は、特にありません。ただ、どのような業界で活躍したいかによって必要な知識は変わってきますので、それらを学生のうちに学んでおくとよいでしょう。たとえば、PR系のイベントに携わりたいなら、マスコミやマーケティングの知識を学んでおくと、就職活動で自分の強みとしてアピールできます。学生のうちに就職を目指す業界の会社でアルバイトをしてみるのもおすすめです。
そして、新卒で入社してもいきなりイベントディレクターになれるわけではありません。まずはアシスタント業務から始めて経験を積んでから、イベントディレクターになるのが一般的です。
未経験から転職するには
未経験でも応募できる求人も見かけますが、こちらも新卒の場合と同様に、いきなりイベントディレクターになれるわけではなく、まずアシスタント業務から始めてイベントディレクターを目指す形となるでしょう。
これまでにイベント運営にかかわった経験がなくても、何かしらのリーダー経験や、臨機応変な対応を求められる現場の経験などを評価してもらえることもあります。また、イベントディレクターはさまざまな人に指示を出したり、説明したりすることも求められる仕事なので、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、資料作成能力、語学力や留学経験などもアピールポイントになります。面接に臨むときは、これらをアピールできるエピソードを用意しておくとよいでしょう。
イベントディレクターに関連する資格
イベントディレクターに必須の資格はありませんが、取得しておくと就職活動で有利になる可能性がある資格はあります。代表的なものとしては、一般社団法人日本イベント産業振興協会が実施する以下の4つが挙げられます。
- イベント業務管理士
- イベント検定
- スポーツイベント検定
- ユニバーサルイベント検定
イベント業務管理士はプロフェッショナルを目指す人向けの資格で、実務経験がなければ受験できません。他の3つの検定は、受験資格を問わず、誰でもイベントに関する基本的な知識・スキルを学べるものとなっています。
公式サイト:イベント資格試験|一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)
また、海外向けのイベントに対応できる人材を求めている会社も多いので、語学力をアピールできる資格もあるとよいでしょう。TOEIC750~800点程度あれば、転職も有利に進められるのではないでしょうか。
関連記事
毎月文化祭・運動会が複数あるようなもの。
