イベントにおける制作とは?制作の種類を徹底解説!

日々さまざまな場所で開催されているイベントには、会場装飾やステージセット、映像・音響機材、配布物やノベルティなど、多くの制作物が関わっています。これらの制作物は、イベントの雰囲気を演出し、来場者の体験をより魅力的なものにする重要な役割を果たします。

制作物を手がける仕事には、デザインや企画、設営、運営の知識が求められ、イベントごとに異なるクリエイティブなアイデアが必要です。

本記事では、イベントにおける制作とはなにか、イベント制作の種類について解説します

イベントにおける制作とは

イベントは、企業のプロモーション、文化・スポーツの祭典、展示会、地域活性化の取り組みなど、多岐にわたる目的で開催されます。イベントを開催するにあたっては、企画や運営だけでなく、会場を彩る装飾や演出、小道具が必要になり、参加者に向けた配布物やデジタルコンテンツなど、多くの「制作物」が欠かせません。

こうしたイベントにおける制作物は、イベントの雰囲気をつくり、参加者の体験を豊かにするために重要な要素です。たとえば、音響・照明は、プレゼンテーションやライブイベントの臨場感を高めるために重要ですし、会場装飾や舞台セットは、空間演出を通じてイベントのテーマを強調し、視覚的なインパクトを与えることができます。

こうした制作物を手がけるのは、デザイナー、映像クリエイター、音響・照明エンジニア、コンテンツプランナーなど、専門的なスキルを持つクリエイターたちです。イベントの目的やターゲットに応じたデザイン・仕様を考え、設計から制作・設営・運用などを担当します。

イベント制作の種類

イベントにおける制作は多岐にわたり、さまざまな種類があります。以下でカテゴリごとに制作の種類を解説します。

音響・照明・演出関連

イベントの演出において、音響、照明、演出は来場者の体験を大きく左右する重要な要素です。視覚と聴覚からイベントのテーマやメッセージ、全体の雰囲気を構築します。

音響演出

イベントの雰囲気を左右する重要な要素のひとつが音響演出です。スピーカーやマイクなどの機材選定だけでなく、音楽の使い方や演出のタイミングなど、会場の特性やイベントの目的に応じた音響設計が求められます。例えば、ライブイベントでは迫力のあるサウンド、ビジネスカンファレンスでは明瞭な音声が求められるなど、音響の方向性もイベントによって異なります。

また、当日の音響オペレーションも重要です。音楽や効果音のタイミング、スピーチやパフォーマンス中の音量調整など、リアルタイムで調整することによって、来場者の没入感や体験価値を損なわないようにすることが求められます。

照明演出

照明演出は、イベントの雰囲気をつくり、来場者の視線を誘導する役割を担います。スポットライトをはじめ、動きや色の変化を加えられるムービングライト、広範囲を照らすウォッシュライトなど、さまざまな照明が用いられます。

照明の配置やタイミングを調整することで、出演者の存在感を高めたり、会場の空気感を変えたりと、イベントの印象を大きく左右します。ステージ演出では、音楽や映像と連動させた照明効果も取り入れられ、視覚的な没入感を高める要素として活用されます。

特殊効果

特殊効果は、視覚的・体感的な演出を加えることで、イベントをより印象的なものにする役割を担います。例えば、炎・光・水・風といった自然要素を模した演出や、プロジェクションマッピングを活用した映像効果などが含まれます。他にも、照明を際立たせて幻想的な雰囲気を生み出す「スモーク」や、緻密な光の動きで未来的な空間を作り出す「レーザー演出」、クライマックスを盛り上げる「花火」など、さまざまな特殊効果が用いられます。

これらの効果は単体で使われるだけでなく、照明や音響と組み合わせることで、より迫力のある演出になります。

映像演出

映像演出は、視覚的な要素を活用してイベントのメッセージを強調し、会場の雰囲気を盛り上げる役割を担います。ステージ演出や商品のプロモーションなど、さまざまなシーンで活用され、イベントの没入感を高めます。

具体的な手法としては、スクリーン投影やLEDビジョンを活用した映像上映などがあります。スクリーン投影は、講演やセミナーでのスライド表示や映像紹介に適しており、見やすさを考慮した機材の選定や配置が求められます。一方、LEDビジョンは高輝度・高解像度の映像表現が可能で、大規模イベントや屋外会場でも鮮明に映すことができます。

映像演出を最大限に活かすためには、コンテンツの企画から機材の選定、環境に適した投影方法の検討まで、一連の調整をおこなうことが求められます。

ライブ配信

ライブ配信は、現地参加が難しい視聴者にもイベントを届ける手段として活用されます。企業セミナーやカンファレンスでは、遠隔地の参加者にもリアルタイムで情報を共有でき、音楽ライブやスポーツイベントでは、会場の熱気を伝えることが可能になります。

ライブ配信を活用したイベントでは、配信プラットフォームの選定、映像・音声の品質管理、回線トラブルへの対応など、スムーズな配信を実現するための準備と運営が求められます。また、配信映像を記録し、アーカイブとして公開したり、ダイジェスト映像を制作してプロモーションに活用したりすることもあります。

コンテンツ制作

イベント制作におけるコンテンツは、参加者の興味を引き、体験の価値を高める重要な要素です。

謎解き制作

謎解きイベントは、参加者が問題を解決しながら進行する体験型の企画で、商業施設や、企業のプロモーション、地域活性化、教育研修など多岐にわたる場面で活用されています。

制作では、参加者に達成感や一体感を提供できるようなオリジナルのストーリーや問題を設計する必要があります。たとえば、企業の歴史や製品に関連した謎を解くことで、ブランド理解を深めることができます。また、地域の名所や文化をテーマにした謎解きは、観光促進や地域の魅力発信にも効果的です。

また、設問のクオリティだけでなく、解答の出し方や全体の時間配分まで考慮することが求められます。

体験型ゲーム企画

体験型ゲームは、スポーツやアクティビティを取り入れたゲームを企画し、イベントの一環として参加者に没入感のある体験を提供できます。企業研修では、サバイバルゲームや脱出ゲームを取り入れ、チームビルディングの要素を加えるケースがあり、地域イベントでは、スタンプラリーや宝探しゲームを用いて来場者の回遊を促す施策として活用されることもあります。

イベント制作においては、ゲームの設計、ルールの整備、必要な設備やスタッフの手配など、運営面を含めた企画が求められます。参加者の安全管理や円滑な進行も重要なポイントです。

オンラインコンテンツ

リモートワークの普及に伴い、オンラインで参加できるイベントコンテンツの需要が高まっています。インターネットを通じた謎解きゲームやチームビルディングなど、オンライン環境で楽しめるコンテンツを制作し、場所を問わず参加者に一体感を提供します。

ウェブ会議ツールを活用したリアルタイムの謎解きイベントや、仮想空間上でのチーム対抗ゲームなどがあります。これらのコンテンツは、地理的な制約を超えて多様な参加者を集めることができ、グローバル企業のチームビルディングや、遠隔地の顧客向けのプロモーションイベントとしても活用されています。

教育・研修向けプログラム

教育機関や企業の研修向けに、学習効果を高めるためのプログラムを制作することもあります。ゲーム要素を取り入れた研修や、シミュレーションを活用した教育コンテンツなど、楽しみながら学べる内容を提供することで、参加者の理解促進やモチベーション向上に繋がります。

具体的なプログラムとしては、営業スキルを向上させるためのロールプレイングゲームや、リーダーシップ研修としてのシミュレーションゲームなどがあり、理論だけでなく実践的なスキルの習得を促し、参加者が主体的に学ぶことができます。

会場装飾・設営関連

会場装飾や設営関連の制作物は、イベントのテーマやブランドイメージを効果的に伝え、参加者の体験を豊かにする役割を担います。

ステージ装飾

ステージ装飾は、イベントのテーマや目的に合わせて空間を演出し、視覚的な印象を高める役割を持ちます。企業イベントではブランドイメージを強調し、エンターテイメントイベントでは没入感を演出するなど、目的に応じたデザインが求められます。

制作の観点では、ステージ全体のレイアウトや装飾素材の選定、演出効果との組み合わせが重要です。たとえば、イベントロゴやスポンサー名を配置したパネルや、照明と連動した装飾、デジタルスクリーンを組み込んだ背景演出などがあり、これらを組み合わせることで、統一感のある空間を作り出すことができます。

また、ステージの規模や構造、会場環境や演目に応じて、視認性や演出効果を最適化する必要もあります。イベントのコンセプトを的確に表現し、参加者に印象づける装飾設計が求められます。

イベント空間のデザイン

イベント空間のデザインは、会場全体の雰囲気を演出し、来場者の体験をより魅力的なものにする役割があります。テーマに合わせで空間をデザインすることで、イベントの世界観を強調し、ブランドの印象を効果的に伝えることができます。

イベントのブランドカラーやロゴを活用した一体感のあるデザインが重要になるなど、会場全体の印象を統一や空間の使い方や視認性の工夫が求められます。

案内や導線のデザイン

イベント会場における導線のわかりやすさを向上させるため、看板やサインのデザインは欠かせません。

来場者を迎え入れる入口では、イベントのテーマや雰囲気を伝えるデザインが重要で、会場内にはプログラムの案内やエリアごとの誘導を行う看板・サインを設置し、スムーズな動線を確保することが重要です。

さらに、遠くからでも目に入りやすい天井吊りバナーや、会場の外で視認性を高める屋外フラッグを活用することで、イベントのイメージを効果的に伝え、来場者の利便性向上にもつながります。

印刷物・グッズ関連

イベントにおいて、印刷物やグッズは情報提供や記念品としての役割を果たします。

配布資料

イベントで使用されるパンフレットやリーフレットといった配布資料は、来場者に必要な情報を提供する役割を担います。

制作においては、イベントの概要や出展者情報、プログラムのスケジュールなどを整理し、視認性や携帯性を考慮したフォーマットを選定します。パンフレットは冊子形式で詳細な情報を掲載し、リーフレットは折りたたみ式や一枚ものの形式で簡潔な情報提供に適しています。配布資料の制作では、レイアウトやデザインを調整し、読みやすさとわかりやすさを重視することが求められます。

ポスター・チラシ制作

イベントによっては、告知・集客を目的としたポスターやチラシの制作がおこなわれることもあります。制作の際はターゲット層や配布・掲示場所に応じたデザインや情報設計が重要です。

ポスターは大判サイズで視認性を重視し、商業施設や交通機関の広告スペースなど、人目につきやすい場所に掲示されます。一方、チラシは手渡しや郵送、店舗設置などを想定し、コンパクトで開催日時や魅力が伝わる構成にすることが基本です。また、オンライン連携のためにQRコードを掲載するなど、デジタルメディアと組み合わせて制作されるケースも増えています。

ノベルティ制作

イベントの記念品やプロモーションツールとして活用されるノベルティは、コストや数量、配布方法も考慮しながら、ターゲットに合わせたアイテム選定が重要になります。実用性を重視したTシャツやエコバッグ、タオルなどのグッズ、手軽に配布できるステッカーや缶バッジ、アクリルキーホルダーなど、さまざまな種類のアイテムがあります。

制作の際には、ブランドロゴやイベントテーマを反映したデザインを施し、認知度向上や参加者の思い出に残るようなアイテムとなることを目指します。

デジタル技術を活用したイベント体験

近年のイベントでは、デジタル技術を活用し、利便性を高めたり、より楽しい体験を提供したりする工夫が増えています。

タッチパネル式デジタルサイネージ

タッチパネル式のデジタルサイネージは、画面を指で触れて操作できる電子案内板です。施設案内や商品検索、会場情報の提供に使われ、ボタンを押すだけで必要な情報が表示されます。多言語対応や操作履歴の分析機能を持つものもあり、イベントの利便性向上や運営の効率化に役立ちます。

AR・VRコンテンツ

AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用したコンテンツは、没入感のある体験を提供します。たとえば、スマートフォンをかざすとキャラクターが表示されるARスタンプラリーや、360度映像を使ったバーチャルツアーなども登場しています。

また、近年は、VR技術を活用した3D仮想空間「メタバース」でのオンラインイベントも増えています。VRゴーグルを装着することで、仮想空間内を自由に移動し、現実に近い感覚で展示やセミナーに参加できます。また、アバターを通じて他の参加者と会話するなど、遠隔地にいながらも実際の会場にいるような体験を提供するイベントもあります。

参加型アプリ・ゲーム

イベント専用のアプリやゲームを取り入れることで、会場内の回遊性を高め、イベント全体を盛り上げる効果があります。

たとえば、デジタルスタンプラリーでは、スマートフォンを使ってチェックポイントを巡る仕組みを作ることができ、抽選アプリを活用すれば、その場でプレゼント企画を実施することも可能です。

SNSと連携したコンテンツ

SNSと連携したコンテンツは、イベントの盛り上がりをオンラインに拡散するのに効果的です。フォトブースで撮影した写真をその場でSNSに投稿する企画や、リアルタイム投票を通じて参加者の意見を反映する仕組みなどがあり、イベントの話題性を高めることができます。

拡散効果を意識した仕掛けを取り入れることで、認知拡大に効果が期待できます。

電子チケット・QRコード認証

電子チケットやQRコードを活用した認証システムは、入場手続きをスムーズにし、運営の負担を軽減します。スマートフォンに表示されたQRコードをかざすだけで受付が完了し、紙のチケットを管理する手間も不要です。

さらに、QRコードを活用して、会場マップの表示やアンケート収集など、イベント中の情報提供にも応用できます。

まとめ

イベント制作物は、空間演出や情報提供、参加者の体験向上など、多岐にわたる役割を担っています。

イベントに関わる制作物を手がける仕事では、デザイン力や技術だけでなく、イベント全体の流れを理解し、目的に沿ってアイデアを形にする力が求められます。イベントの魅力を支える制作物に興味がある方は、ぜひ自分のスキルやアイデアを活かし、イベントの世界に挑戦してみてください。

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