
イベント会社はライブやプロモーション、講演会などあらゆるイベントの企画運営を行います。業務形態や仕事の特性からきついと言われる場合もありますが、人間として成長できるやりがいのある仕事です。
本記事では、イベント会社がきついと言われる理由を、イベント会社に向いている人の特徴や働くメリット、仕事を楽しむコツとあわせて紹介します。
イベント会社とは
イベント会社はイベント主催者(クライアント)から依頼を受け、クライアントの代わりに、イベントの企画から運営までを担う会社です。
クライアントと打ち合わせを重ねて企画を立案し、PR活動により集客を図ります。イベントに必要な物品の発注や人員の手配など、イベントに関連するすべてを請け負うのが仕事です。
特定の分野に特化した会社や、ジャンルは問わず取り扱う総合会社まで、さまざまなイベント会社が存在します。
主な仕事内容
イベント業界の仕事は、大きく分けて5つあります。
- 企画
- 制作
- 運営
- 会場管理
- 施工・テクニカルオペレーター
それぞれの仕事内容を、解説します。
企画
クライアントの意見や予算をヒアリングし、イベントを企画書に落とし込む工程です。
クライアントの希望をプロの目線から分析・取捨選択し、最も効果的なPR方法や集客戦略を設計します。そのため、交渉力や提案力が求められるでしょう。イベント業界のなかでも花形の仕事であり、イベントの成功を左右する重要なポジションでもあります。
制作
企画書を実際の形にしていく工程の仕事です。会場の手配や必要な備品の発注、スタッフやパートナー会社とのやり取りなど、さまざまな業務を同時進行していきながら、イベント当日までに必要な事柄を整えていきます。
制作では進行管理能力や、さまざまな人と連携するコミュニケーション能力が求められます。
運営
イベント当日の運営では、準備してきたスケジュールに沿って滞りのないよう進行していきます。数時間から一日限りの短期間のイベント、数カ月にわたって行われるイベントまで、運営を行う期日には幅があります。
スタッフの役割分担や業務サポート、顧客対応やトラブル処理など、イベント運営には臨機応変な対応力が必要です。
会場管理
イベントを開催する会場管理も、重要な業務の一つです。会場で希望する演出ができるか、またそれに必要な機材が揃っているか、安全性を確認したり、会場管理担当者とのやりとりをしたり、会場にまつわる交渉を行います。
イベントの企画を理解し、希望と現実の兼ね合いを考える調整力が必要です。
施工・テクニカルオペレーター
イベント当日の演出の要は、映像・音響・照明の技術者です。企画演出のイメージを実際に形にし、顧客に届ける重要な役割を担います。
イベントのなかでも、特にライブや舞台などで活躍し、企画書や制作担当者の意図を汲み取るコミュニケーション能力や、それを実現する技術力が重要な仕事です。
イベントの種類
イベントには幅広い種類があります。主なイベントの種類は以下の通りです。
- ライブ・コンサート
- 舞台
- プロモーション
- セミナー・講演会
- 展示会・企画展
イベント会社の代表的な職種
イベント会社の代表的な職種を紹介します。
プロデューサー
イベントの企画を行い、全体管理を担う責任者のポジションです。クライアントへの提案から制作管理、当日の運営までイベントの全体を統括します。
現場や交渉での的確な交渉力や判断力が求められるため、イベント会社のスタッフとして経験を積んだのちに抜擢されることが一般的です。
ディレクター
主に制作工程の総監督を担うポジションです。広報、演出など、イベントに関わる制作物全体を管理し、ディレクションを行います。クライアントとの折衝や現場との調整など、高いコミュニケーション力や進行管理能力が問われます。
一方でプロデューサーとの線引きが曖昧なポジションでもあり、両者を兼任で務める場合も少なくありません。
アシスタントディレクター(AD)
プロデューサーやディレクターのアシスタントを行うポジションです。主にディレクターからの指示に基づき業務を行い、仕事内容は資料作成から人員手配、会場調整や当日の運営管理まで多岐に渡ります。
イベント会社のキャリアの一歩目として与えられるポジションでもあり、さまざまな業務に挑戦しながら、イベント運営に必要なノウハウを身につけていきます。
イベントスタッフ
主にイベント当日の運営を担うポジションです。受付や来場者の誘導、機材設営、販売業務などが主な仕事です。プロデューサー、ディレクター、アシスタントディレクターからの指示に基づき、業務にあたります。イベントスタッフはスポット業務が多いこともあり、アルバイトや日雇いの人材で構成されることが多くあります。
イベント会社がきついと言われる理由
イベント会社が「きつい」と言われる理由を紹介します。
土日祝日の概念がない
イベントは休日に開催される場合が多く、運営のためにカレンダーの休日に働くことが多くなります。そのため土日祝日の概念がなくなり、生活のリズムがとりにくく、きついと感じる人もいます。特に家族や子どもがいる場合、休日を合わせられず働きにくいと感じることが多いかもしれません。
一方、平日に休日があると観光地なども空いているため、外出しやすいメリットもあります。
クライアントと現場の板挟みになる
イベント会社の仕事は、クライアントの希望を聞き、イベントに反映させることです。しかし人員や設備、タイミングなどさまざまな事情から、希望をすべて叶えられないこともあるでしょう。
また、イベントに関わるすべての人が向上心や責任感を持って働いているとは限りません。派遣やアルバイトなどでお金を稼ぐことが目的となっている人は、モチベーションが低い場合もあります。
そのため、モチベーションや意識の違い、仕事の進め方などで、現場の運営とクライアントの希望との板挟みとなり、コミュニケーションや人間関係にきつさを感じる人もいるかもしれません。
年収が低い傾向にある
イベント会社は拘束時間が比較的長いにもかかわらず、給与が特別よいわけではないという実態が、きついと言われる一因にもなっています。
日本人の平均給与が460万円なのに対し、イベントプランナーの平均給与は約421万円と平均を下回る調査結果があります。
そのため、給与が低いことが、努力が評価されない業界なのではないか、きついのではないかという懸念につながっています。
拘束時間が長い
イベントによっては開催時間が長く、準備や撤収などを含めると一般的な労働時間の8時間に収めるのが困難な場合があります。
イベントの全体を把握する責任者は特に、開催時間はずっとその場にいなければならず、拘束時間が長くなりがちです。
労働時間が長いことが、仕事がきついと感じる要因の一つになっていると考えられます。
体力・精神力が必要
イベント当日の運営には機材の搬入や、動き回りながらの対応が想定され、体力が求められます。また、来客対応からスタッフの采配まで心を配ることも重要であるため、体力的にも精神的にもタフさが必要です。
そのため人によっては、業務による消耗が激しいと感じ、イベント会社はきついと感じる理由にもなっています。
天候に左右される場合がある
イベントを屋外で開催する場合は、労働環境が天候に大きく左右されます。雨天・荒天時の対応が求められる場合もあり、過酷な環境でのイベント運営を経験し、イベント会社はきついと思う人もいます。
一方屋外での開催は開放感があり、デスクワークにはない魅力でもあります。
イベント会社に向いている人の特徴
イベント会社に勤めるのに、向いている人の特徴を紹介します。
イベントが好きな人
イベントが好きな人は、業務に大きなやりがいを持てるでしょう。イベントに参加するのが好きな人は、運営を経験することでその裏側を知ることとなり面白さを感じられます。
また、好きだからこそ工夫や改善をこらす意欲が生まれ、業務がよりブラッシュアップしていく好循環が生まれます。
専門的な知識を持っている
イベント会社で働くためには以下のような知識を持っていると、強みになります。
- マーケティング
- 広告や印刷物について
- 音響・照明・映像などについて
知識習得のために経験を積んだり、勉強をしたりすることで身につく知識です。知識と技術を持ち合わせた人材は現場において活躍できる幅も広くなり、重宝され、信頼されます。
スケジュール管理ができる
イベント会社は企画から運営を担うため、長いスパンでのスケジュール管理が求められます。企画・当日の進行、運営スタッフの動きなど、さまざまなフェーズでのスケジュール管理が必要です。
スケジュール管理ができないとイベントの進行に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、自分なりに工夫してスケジュール管理ができる人が、イベント会社の業務に向いています。
トレンドに敏感である
イベントを企画するにあたり、トレンドを把握し、新しい技術を積極的に取り入れていくことで、観客に感動や喜びを与えるイベントが開催できます。そのため、トレンドを情報収集し、分析する力に長けていることは、イベントの企画・運営には最適な人材として重宝されます。
最新の流行をキャッチし、取り入れていく柔軟な考えを持てる人は、イベント会社の業務に大きなやりがいを感じられるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
イベント会社で働くには、非常に多くの人と関わりを持つ必要があります。そのため、イベント会社の業務においては、さまざまなコミュニケーション力が問われます。
まず、クライアントの細やかなニーズを把握するためには、傾聴力が不可欠です。そして、イベントの準備・進行には細やかな報告・連絡・相談が肝心となり、関係各所に的確な指示出しをするために情報伝達スキルも重要でしょう。また、企画内容を提案するプレゼンテーションスキルも強みになります。
これらの能力がすでにある人や、今後高めていく努力ができる人は、イベント会社の業務に向いています。
体力がある
イベントの開催に向けて、設営がうまくいっていなかったり、急なトラブルがあったりすると徹夜で働くこともあります。そのため、体力がある人は、イベント会社で働くのに向いています。
また、拘束時間が長くなることもあるため、体力があることはイベント会社で働くうえで重要な要素です。
協調性がある
イベントはプロデューサーからイベントスタッフまで、多くの人が関わってつくるため、協調性を持って働ける人が向いているでしょう。
それぞれのアイデアを尊重し合い、コミュニケーションを取りながら最善の選択を重ねていけるチームが、良いイベントを開催できます。自分の意見を持ちつつ、周りの意見を柔軟に取り入れ協力できる姿勢が、イベント会社の業務には求められます。
イベント会社で働くメリット
イベント会社で働くメリットを紹介します。
華やかな場に関われる
イベントを企画するうえで、その業界の中心的な人物と関わる場面や芸能人に会う機会が少なからずあります。仕事であるため、浮ついた気持ちで仕事に取り組むのは良くありませんが、憧れの芸能人に会えることやイベントに関われることは意欲につながります。
コミュニケーション能力が身につく
イベントを作り上げていく過程では、クライアントやスタッフ、他企業・他業種の人たちと連携する機会が多くあります。
クライアントの要望をうまく聞き取り、実現させるために必要な人材を手配・采配するうえでコミュニケーション能力が磨かれていくでしょう。
コミュニケーション能力は、仕事・生活のあらゆる場面で必要となるため、汎用性の高いスキルが身につきます。
柔軟な対応力が身につく
イベント会社の仕事は、毎日変化があることがほとんどです。たとえばクライアントの要望の変化による仕様変更や作業の進行が遅れることもあるかもしれません。長く務めることでイレギュラーなことに対して柔軟に対応する力が培われます。
うまくスケジュールを調整しなおせたり、関係各所への手配がスムーズにできたりするとやりがいを感じられるでしょう。
大きな達成感を得られる
イベントを運営し、当日を迎えた際や無事に終了させた時は、大きな達成感を得られます。担当したイベントの規模が大きいほど責任も伴いますが、達成した時の反響は大きいものです。
大きな達成感を得られるのも、イベント会社に勤める魅力の一つです。
人脈が広がる
社外に出てさまざまな人とコミュニケーションをとるからこそ、人脈が広がります。人と出会うことで見識を広げられ、人間としても成長できるでしょう。
仕事を通じて大きな財産となる人間関係を構築できるのも、イベント会社で働くメリットの一つです。
さまざまな場所に行ける
イベントを開催する場所に応じて、さまざまな場所に行けるのもイベント会社で働く魅力です。観光する時間はなくても、その土地の食べ物や文化に触れる機会があるかもしれません。
知らない土地に足を運び、文化や風土に触れることが好きな人は、イベント会社の仕事を楽しんで取り組めるでしょう。
イベント会社を楽しむコツ
イベント会社の仕事を楽しむコツを紹介します。
自分のやりたいことを見つける
与えられた業務をただこなすのではなく、自分が取り組みたいことを見つけて主体的になることで、仕事がより楽しくなります。
企画したいイベントのジャンルやテーマを決めて、それを実現できるためには何に取り組む必要があるのか、道筋を描くことで、目の前にある仕事を楽しめるようになるでしょう。
人との出会いに感謝する
イベント企画を通じて、クライアントをはじめとしたさまざまなステークホルダーと仕事をします。そのなかには対応に苦慮する人もいるかもしれませんが、そのような経験も含め、人との出会いに感謝することが大切です。
さまざまな人との出会いが、自身の人間的な成長にもつながるでしょう。
日々勉強だという意識を持つ
自分の関わったイベントだけでなく、さまざまなイベントに足を運ぶのもおすすめです。自分にはない独自の視点や工夫など新たな発見や気づきなどがあるでしょう。街中を歩きながら流行をリサーチしたり、世間の出来事にもアンテナを張って広く情報収集したりするのも、イベント会社で働くことを楽しむための方法の一つです。
些細なことにも興味を持ち、好奇心旺盛に探求することで仕事にも生かせることが多く見つかります。
目標を設定する
普段の業務に漫然と取り組まず、目標を設定することで日々の仕事に潤いが生まれます。たとえば新規開拓◯件といった具体的な数字や、クライアントのイベント満足度を上げるために〇〇に取り組むといった行動目標を立てるとよいでしょう。
小さな目標を立てて達成するサイクルを繰り返すことで、自己肯定感も上がり、仕事へのモチベーションを維持できます。
向上心を持ち、スキルアップをする
スキルアップすることでできることが増えると、仕事がより面白くなる場合があります。社内研修の制度があれば、利用できるものがないかこまめにチェックしましょう。また、書籍やオンライン講座で学ぶ選択肢もあります。
向上心を持ち続けることで視野が広がり、仕事を楽しいと思えるきっかけが生まれます。
まとめ
イベント会社は対人関係や長い拘束時間など、さまざまな要因からきついと表現されることもありますが、人間として成長できる機会が多いやりがいのある仕事です。
自分のやりたいことを見つけ、目標に向かってスキルを磨き続けることで、イベント会社の仕事がより楽しくなるでしょう。
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