本記事では、イベントMCの概要、仕事内容、1日の仕事の流れ、働き方・ライフスタイル、年収、求められる適性・向いている人、働く辛さ・大変さ、将来性、イベントMCになる方法、関連する資格について紹介します。

イベントMCとは

イベントMCとは、イベントの司会進行を行う人です。ここでのイベントとは、コンサートやフェスティバルなどだけでなく、スポーツ競技大会、結婚式、セミナーなどさまざまなイベントが含まれます。

「MC＝司会者」とされることもありますが、本来はMCと司会者は別物です。まず司会者とは、イベントならイベントを、番組なら番組を台本通りに進行する人のことです。これに対してMCは、出演者の個性を尊重し、それぞれの能力を引き出しながら、全体を仕切る人を指します。ちなみに「MC」とは、「master of ceremony」の略称です。

イベントMCの仕事内容

イベントMCの仕事は、イベントをスケジュール通りに進行することです。イベントMCは、番組のMCなどに比べると台本通りの進行が求められるケースが多いでしょう。

また、イベントの種類によってもMCに求められることは変わります。たとえば、式典・表彰式などであれば、アドリブ力よりアナウンス力が重視される場合が多いでしょう。ゲームやトークショーなどのように「楽しい」要素があるイベントなら、その場を盛り上げる力や、臨機応変さが求められます。また、結婚式や披露宴の場合は、どちらかというと司会者のような台本通りの進行が求められますが、思わぬハプニングが起こることもありますので、アドリブ力や柔軟性も必要になります。

イベントがない日の仕事内容は所属先によって異なりますが、イベント会社に所属するなら、台本制作やイベントに向けた準備など、MC以外の業務を行うこともあります。

イベントMCの仕事の流れ（1日）

イベントMCになるには、プロダクションに所属する、イベント会社や結婚式場に就職する、フリーランスで活動するなどの方法があります。働き方や、担当するイベントの内容によって、1日の流れは異なります。ここでは一例として、イベント会社で働くイベントMCのある日の流れを紹介します。

イベントMCの働き方・ライフスタイル

イベントMCの働き方としては、大きく分けて以下の3つがあります。

• プロダクションに所属して依頼を受けたイベントに派遣されるケース。
• イベント会社や結婚式場に就職して専属のＭＣになるケース。
• フリーランスとして活動をするケース。

最近はオンラインでフリーランスと仕事をマッチングできるサイトもあるので、フリーランスの道を選択する人も多いようです。ただ、ある程度スキルや経験、知名度がなければ、フリーランスのMC1本でやっていくのは難しいかもしれません。イベントMCを目指すなら、まずはどこかに所属することをおすすめします。

また、イベントMCになると、イベント開催日時に合わせて土日祝や夕方～夜にかけての遅い時間に働かなければならないことも多くなります。

イベントMCの年収

イベントMCの年収は、プロダクションに所属するのか、イベント会社に就職するのか、フリーランスとして活動するのか、また年間でどれくらいのイベントを担当するかによっても変わってきます。イベント1回あたりの報酬も、拘束時間やMCとしての知名度・経験、台本はクライアントが用意するのか否かなどにより異なります。

イベントMCへ仕事を依頼する場合の料金の相場としては、司会者やMC、ナレーターとしての知名度があまり高くない人でイベント1回あたり35,000円以上、有名な人になると70,000円以上の金額になることもあります。

イベントMCに求められる適性・向いている人

では、イベントMCにはどのような人が向いているのでしょうか。

アナウンス力がある人

イベントの種類によってもMCに求められるスキルは異なりますが、共通して必要になるのが、アナウンス力です。どんなに場を盛り上げることを言っても、伝わらなければ意味がありません。まずは、聞き取りやすい話し方ができることが何よりも大切です。

具体的には、滑舌よく話せる、声のボリューム・トーン・スピードがちょうどよい、言葉遣いが適切で美しい、抑揚をつけて話せることなどが求められます。また、場を仕切る力も必要です。

イベントMCを目指すなら、まずはアナウンス技術を習得しましょう。

場の空気を読む力がある人

イベントMCには、その場の状況に応じて臨機応変に対応し、場を盛り上げることも求められます。そのためには、場の空気を読んだうえで、自分がすべきことを瞬時に判断し、実行しなければなりません。そのため、場の空気を読む力も、イベントMCには欠かせない能力といえます。

アドリブ力がある人

楽しさが求められるイベントや、ゲストを招くようなイベントでは、特に高いアドリブ力が必要になります。

イベントMCには、ゲストが初対面の人であったとしても、瞬時にその人の性格や個性を見つけて、引き出すことが求められます。また、イベント本番では何が起きるかわかりません。イベントは多くの場合一発勝負ですので、イベントMCには急なアクシデントにも冷静に対応し、イベントを円滑に進めていくことが求められます。さらに、場を盛り上げるためには言い換えや切り返しのレパートリーが豊富であることも重要ですし、イベントの内容によっては演技力が求められることもあるでしょう。

イベントMCを目指すなら、アドリブ力も磨いていく必要があります。

事前リサーチをしっかりできる人

イベントを盛り上げるためには、そもそもどのようなイベントなのか、目的は何か、出演者・ゲストがどのような人物なのかなどを、あらかじめ頭に入れておく必要があります。また、イベント参加者についても理解を深めておくことが求められます。参加者がイベントに何を求めているのかを理解しておかないと、空回りしてしまう可能性があります（例：参加者としてはゲストのトークが楽しみなのにMCばかりしゃべっている など）。

事前リサーチを怠らずにできるという点も、イベントMCに求められるポイントです。

練習・努力ができる人

イベントMCになるには、まずは何よりもアナウンス力が重要であるとお伝えしましたが、話す技術を習得しても、練習しなければ力はどんどん衰えてきます。また、ぶっつけ本番ではなく、イベント前にしっかり練習をすることも重要です。

イベントMCは、発声や滑舌の練習を毎日怠らずにできる人、本番前にきちんと練習できる人が向いている仕事といえます。

体力と気力がある人

イベントMCは、非常に体力が要る仕事です。イベント当日は、MCである自分がイベントを回していかなければなりません。ステージ上にいるときは、立ちっぱなしであることも多いでしょう。また、次項で詳しく紹介していますが、イベントMCは大きなプレッシャーがかかる仕事でもあるため、気力も必要になります。

そのため、体力と気力があり、かつ自分のメンタルや身体の健康状態をコントロールできる人が向いているでしょう。

イベントMCとして働くつらさ・大変さ

イベントMCは、非常にプレッシャーのかかる仕事であるため、落ち込んだり自信がなくなったりすることがあります。具体的には、以下のような不安やプレッシャーを感じる人が多いようです。

• 失敗しないでできるだろうか
• ハプニングが起きたらどうしよう
• 自分のMCで楽しいイベントになるのだろうか
• 当日体調を崩したらどうしよう　など

先ほどお伝えした通り、イベントMCは体力・気力が求められる仕事です。スケジュールが詰まってくると回復が追い付かず「つらい」と感じることもあるでしょう。

また、ベテランになると指名をもらえるようになる可能性もあります。その場合は、イベントの企画段階から参加することもあるため、仕事量が増え、負担に感じることもあるかもしれません。

しかし、イベントMCは大きなやりがいや達成感を感じられる魅力的な仕事です。この仕事に興味を持っている方は、ぜひ挑戦してみてください。

イベントMCの将来性

新型コロナウイルスが流行して以降、オンラインやハイブリッドといったイベントの形態も定着し、イベントは多様化しています。イベント業界自体が、まず将来性のある業界といえるでしょう。

また、MCや司会業は、イベント業界以外でも求められる仕事なので、需要が衰えることはないと考えられます。将来的に別の業界のMCにチャレンジする、話すことに関する講師やトレーナーになるといった道もあるでしょう。

イベントMCになるには

では、イベントMCになるにはどうすればよいのでしょうか。

新卒入社を目指すには

イベントMCになるために必要な資格は特にありません。ただ、アナウンス力が求められる仕事ので、これを学べる専門学校やアナウンススクールに通うと、進路が決まりやすくなるでしょう。

未経験から転職するには

求人を見ると、未経験OKの募集もあります。また、プロダクションなどはオーディションを定期的に開催しているところもあり、これに受かれば未経験でもイベントMCになれます。ただ、やはり話すことに関するスキルが求められる仕事なので、スクールなどに通ってアナウンスの基礎を学んでおいたほうがよいでしょう。

これまでに何かしらのMC・司会の経験（社内の会議や研修など）や、人前で話した経験、芝居をした経験などは、面接でアピールできるポイントにはなります。

イベントMCに関連する資格

お伝えしたように、イベントMCになるために必要な資格などはありませんが、取得しておくと就職の際に有利になる可能性があるものはあります。たとえば、一般社団法人話しことば研究機構の「アナウンス力検定」や、日本プロフェッショナル司会者協会の「司会者認定資格」などです。ただ、イベントMCはこれらの有無よりも、やはり実際の経験が重視される仕事といえます。

また、最近は海外の方に向けたイベントも増えているので、語学に関する資格もあると、面接でアピールできるでしょう。